先ごろ行われた道新杯でのこと。
泉野の準々決勝、
ゲームが終わって両チームがベンチ挨拶へ向かう。
当然、勝った泉野のメンバーは歓喜の声。
一方、負けたチームのメンバーは、悔しさからか涙が止まらない。
重い足取りながらもベンチ前にきちんと整列したあと、
キャプテンが声を振り絞って
「ありがとうございました」の掛け声。
体を震わせつつ大きな声で唱和する他のメンバー。
辛くとも深々と頭を下げるその紳士な態度に、
強く感動させられる。
「お疲れ様、ナイスゲームでした。ありがとう」と答えた。
ベンチ挨拶の別れ際、相手チームの一人の選手が涙を流しながら、
「僕たちの分までがんばってください!ぜひ優勝してください」
と言葉をかけてくれた。
正直、鳥肌が立った。
うれしくてたまらなかった。
全道に行く夢を絶たれ、無念の気持ちでいっぱいなのに…
どうしてそんなことが言えるか?
いやいや、そんなやぼなことは考えまい。
彼の心の広さに比べ、自分のちいささに嫌気がさす…(悲)
言葉の威力はつくづくすごいと思う。
彼の一言で、どんなに勇気をもらったことか…
勇気はやる気を導き出し、
やる気は人の行動をあっさりと変えてしまう。
自分もサッカーのスタッフという立場から、
発する言葉に責任が伴う。
重々承知しているが、なかなか合格ラインに達しないのが実情。
つい感情に負けてしまう。いつも反省と後悔の繰り返しだ。
スタッフの言葉、いわゆるコーチングは、
・シンプルにかつ選手が考える余地を残して情報を伝える
・選手の能力、チームの能力が最大限に発揮するよう支援する
ことが目的だと考える。
言い方を変えると、
選手の資質を見抜き、失敗を恐れずトライさせ、
課題について明確なアドバイスを送るということか…
書けば簡単だが、有言実行が難しい。
かの坂本竜馬は、
「自分の腹の中で、ちゃんとぬくもりのできた言葉だから、
その言葉一つ一つに確信の入った重みがある」
と、司馬遼太郎が評している。
先ほどの選手と同じ、“人への思いやり”がなせるのだろう。
今回の大会は、本当に勉強になった。
ぬくもりのある言葉、態度、
少しでもあの選手のようになれるよう精進しよう!
再見